『あの春をむすんでひらいてまたむすぶ』プロローグ&ゲームの流れ

『あの春をむすんでひらいてまたむすぶ』についてはこちらをご確認ください。

※下記、プロローグとゲームの流れなります。事前に読んでもゲームに支障はありませんが、新鮮な気持ちで遊びたい場合は読まないことをお勧めいたします。

■プロローグ

孝太郎「ただいま」
 駅のロータリーに降り立った麻倉孝太郎(あさくらこうたろう)は、誰に伝えるわけでもなく呟き、実家へと歩を進めた。日々の忙しさを理由に、実家にはなかなか帰っていなかったが、とある目的のために帰郷した。
 帰宅すると普段と変わらないようなノリで母に軽口を叩き、そうそうに家を出た。友人たちとの約束があるのだ。
隆太「おう、孝太郎!」
 元気に手を振るのは黒崎隆太(くろさきりゅうた)。小学校からの幼馴染みだ。ムードメーカーでひょうきん者。その横には目立つ赤毛の女の子もいる。
美波「コウタ! 成人式に顔出さなかったし、ひさしぶりだねー!」
 彼女は日向美波(ひなたみなみ)。隆太同様、幼馴染みだ。セミロングの明るい髪の毛。社交的な性格は、そのくりんくりんとしたまつ毛が主張している。
孝太郎「こう見えて、意外と忙しいんだよ」
 その足で河辺へと向かった。帰郷の目的は実家ではなく、かつては秘密基地と呼んでいた “そこ”にあった。元々は廃屋だった場所だが、いまは何もなく荒れ地となっている。そこでは孝太郎たちが小学校時代にいつも過ごしていて、そして彼らの友達である……

大空春香(おおぞらはるか)が死んだ場所だ。

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 話は 10 年前に遡る。
 小学校6年生のことだ。いつものようにみんなバラバラに帰宅し、秘密基地に集まる予定だった。家から秘密基地の距離は、春香、孝太郎、美波、隆太の順に近い。いつもは孝太郎が着くとそこには春香がいて、美波が来るまでの5分程度、二人きりの時間が孝太郎にとって大切なひと時だった。
 その日も、二番目に到着したのは孝太郎だった。扉にはいつものとおり鍵がかかっていて、開けて中を覗くと、そこにはいつもの春香が……いなかった。伏せるように倒れ、背中には深々と刃物が突き刺さり、床には血だまりが広がっていた。
 この事件は、容疑者はいたが決定的な証拠はなく、未解決のままだ。そして、春香の家族は、事件を忘れるためか、引っ越してしまった。

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隆太「一応、当時のことを調べておいたんだ」
 隆太が書類の入った封筒を差し出す。
美波「でも、やっぱり難しそうだよ、コウタ。今さら証拠が見つかるはずもないし……」
孝太郎「サンキュ。ま、難しくても、自分なりに真相を調べてみたいんだ」
隆太「わかった。じゃあ、俺たちは一旦帰るわ。なにかあったら連絡くれよ!」
美波「落ち着いたらゴハン行こうね~」
 二人の背中が見えなくなるまで手を振ると、孝太郎は受けとった資料に目を落とした。その刹那、後ろから声がした。
「あの……麻倉孝太郎さん、ですよね」
 振り返った孝太郎は息を飲んだ。
孝太郎「春香……?」
 いや、春香は 12 歳の時に亡くなっている。それに目の前の女性は大人だ、12 歳のそれじゃない……。しかし、春香の面影を感じる。
秋音「ごめんなさい。突然声を掛けてしまって。私は大空秋音(おおぞらあかね)です。春香の姉で……あなた春香とよく遊んでいた子よね」
孝太郎「あぁ、お姉さん。……はい、そうです」
秋音「今日はね、たまたまこの近くに用があったから……ちょっとだけお参りに来たの」
 目を細め、笑顔とも泣き顔ともつかない表情で荒れ地を見る彼女。孝太郎は、この運命的な出会いにかすかな可能性を感じていた。春香の姉であれば、自分たちが知らない何かを知っているのではないか……。

秋音「不思議ね、あの子の存在を感じる……」
孝太郎「え?」

 これから二人は大空春香の記憶をたどる。

~プロローグ終了~



■ゲームの流れ
0.オープニング
・プロローグを読み上げる
・キャラクターを選択する
・キャラクターシートを読み込む(8分)
・自己紹介
1.議論(40 分)
・8分ごとに追加情報を公開する。
2.回答(5分)
・真相を回答する。
3.エンディング
※各キャラクターシートの背表紙に、具体的な進行方法が記載されておりますので、そちらを確認しながら進行をしてください。


※ゲームを遊ぶときには、改めて二人一緒にでプロローグを読んで、気持ちを合わせることをお勧めいたします。




『あの春をむすんでひらいてまたむすぶ』は、ゲームマーケット2020秋の【C14】ワンドローブース(両日)、または【エ02】中村誠(土曜日)などで販売予定の、「マーダーミステリーコンベンションvol.1記念誌」に綴込み付録として収録されております。よろしくお願いします。

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二人用マダミス『あの春をむすんでひらいてまたむすぶ』について

マダミスコン記念誌に綴込み付録として用意した、『あの春をむすんでひらいてまたむすぶ』について紹介させて頂きます。完全新作のマダミスとなります。

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■あの春をむすんでひらいてまたむすぶ
プレイ人数:2人用
プレイ時間:1時間
対象年齢:14才以上
ゲームデザイン:木皿儀 隼一
グラフィックデザイン:小宮山 佳太
テクニカルアドバイザー:中村 誠

●プロローグ
帰郷した麻倉孝太郎は過去に幼馴染みが事件にあった河辺にいた。そこで出会ったのは被害者の姉・大空秋音。ふたりは友人が集めてくれた資料と過去の記憶を元に、10年前の事件の真相を探ることになる。


このような形の作品になっています。本当はもっとプロローグは長くて読むのが面倒なので、かなり端折ってます。今回は記念誌のおまけとして付けているのですが、おまけとしてはもったいない(笑)と作者自身としても思っておりますので、ぜひ体験して頂けると幸いです!
記念誌の中綴じになっている中央部分のホッチキスを外して、キャラクターシート2枚、ルール&エンディング2枚を取り出す形で用意ができる仕様です。まだ現物が無いので何とも言えませんが、ネタバレを読まないように注意しながら取り外しをしてください。
マダミスなので、あんまり内容を紹介できないのが痛しかゆしなのですが、二人用でしか体験できないようなゲーム性にはなっています。あとはマダミスといっても二人だけで遊べる気軽さもありますので、ご家族やご友人と遊んでほしいですね。一応、男性と女性なので男女で遊ぶのがおすすめですが、同性同士でも問題は無い内容になっています。
ということで、よろしくお願いいたします!

執筆者:木皿儀

マダミスコン記念誌について

ゲームマーケット2020秋で販売するものの紹介です。

■マダミスコン記念誌
2020年10月3日に開催しましたマーダーミステリーコンベンションvol.01の素晴らしい出展者様などから寄稿頂いた記念誌を販売致します。
ゲームマーケット2020秋にてワンドローブースにて販売予定ですが、他のブースでの販売もあるかもしれません。その場合はツイッターなどでご紹介させて頂きます。

・日程:2020年11月14日15日
・販売ブース:エリアC14「ワンドロー」両日参加
・仕様:B5サイズ、モノクロ、52ページ
・価格:1000円
※出版部数につきましては数に限りがございます。売り切れてしまった場合はご了承ください。

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内容につきましては、画像をご覧いただければと思いますが、マダミスに関する記事やゲーム紹介などが載っております。イベントに参加された方も、そうでない方も興味深い内容になっておりますので、ぜひお手に取って頂けると幸いです。

また、綴込み付録としてマーダーミステリー「あの春をむすんでまたむすぶ」が封入されております。二人用のマダミスということで、少し変化球な内容になっておりますがちゃんと面白いものになっていると思いますので、合わせてよろしくお願いいたします。
こちらの詳細につきましては、別記事でちゃんと紹介をさせて頂こうと思います。

執筆者:木皿儀
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