アンチャーテッド・ボードゲームの紹介

海外のバンダイUSさまから発売されていますす
『Uncharted: The Board Game』の紹介をいたします。
http://www.bandai.com/uncharted/

こちらの制作に
ゲームデザイン:木皿儀隼一
グラフィックデザイン:小宮山佳太
という形で参加させていただきました。ありがとうございます。

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下記、デザイナーズノートとしてゲームの紹介をさせていただきます。
※長文になりますので、お気をつけください。

 ゲーム内容は、基本的にはPS3作品の『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』を基に作成させていただきました。基本的なシステムはアクションポイント制で、手番ごとに2回のアクションを行ない、それらを各プレイヤーがパスをするまで行なっていき、ラウンドとして進行するものです。
 各プレイヤーがアクションとして行なえることは多岐に渡ります。手札からカードを配置したり、配置しているカードを使用したり(結果、場のエネミーに攻撃したり、クエストに挑戦できたりできます)、特殊なアクションを発揮したり、各プレイヤーの動向を見つつ、自分の最適な行動を取っていきます。
 今回こだわったのは、私が勝手に“場構築”と呼んでいる場にカードを配置して、それを活用するシステムです。カードには4色の色があり(赤は戦闘向き・青はドローソース・黄は探索&妨害・緑はサポート)、場には各色3枚まで計12枚までのカードを配置できます。また、カードを使用すると横向きになり(使用済みになり)新たなラウンドになると縦向き(再度使用可能)になります。もちろん、各ラウンドごとに全てのカードを活用すればよいのですが、場に配置したカードは効果を発揮する以外にも意味を持っています。ラウンドの最後には場に残っているエネミーが攻撃してくるのです。攻撃力だけダメージを受けてしまいますので(ライフが0になったら、ゲームから脱落)、極力ダメージを抑えたいわけです。そのときに未使用のカードがあれば、それを横にすることで1枚につき1ダメージを軽減できます。なるべくライフを守るのであれば、防御としてのカードを取っておく選択肢もあるのです。これまでにも場にカードを配置していくゲームはありましたが、ある意味タイミングに応じて効果が発揮される受動的な存在でした。それをメリットとデメリットを考えながら自ら能動的に活用していくという部分がポイントとなります(TCGのクリーチャーの存在と近い考えです)。場構築にはまだまだ考えどころがあって、カードを配置するには指定された値だけ、手札のカードを捨て札にしなければなりません。今必要でないもの、今後必要になるであろうものを取捨選択し、刻一刻と変化する状況を考えながらプレイするのは、なるべく原作の再現をしたいと考えたからです。

 このゲームではドイツゲームの考え方よりもアメリカゲームの考え方を多く取り入れております。たとえば、場のエネミーと戦闘があることや、特殊な効果をたくさん発揮して遊ぶこと。もちろんガチにそこを重くする方向ではなく、ライトに理解できるように努めてはいます。といいつつも、このゲームはアメリカでの販売ということを主眼において作成したわけですが、自分がデザインする上で完全なアメリカンなスタイルではない部分も取り入れることをちょい足ししております。それはたとえば、『7つの島』でも採用していた、条件人数を満たせばクリアするというクエスト方式も搭載していたりすることです。コマ配置という先着順である要素を加えることで、どちらに特化した戦略をとるかでプレイヤーの楽しみが広がるように考えました。それはシンプルな選択です。大幅な戦略という大きな選択肢から、アクションで何を行なう細かいたくさんの選択肢まで、様々なジレンマを楽しめるオリジナリティのあるゲームに仕上がったと思います。
 結果的に、銃撃戦があったと思えば遺跡探索を行なうという原作の雰囲気の再現に近づけたと自負しております。原作ファンの方はそのあたりも見ていただけると幸いです。また、基本的なルールにおいては、一人プレイのシナリオをクリアしたようなゲーム性の再現に努めましたが、その他にいくつかモードがあって、生き残りをかけたモードや、エネミーではなく各プレイヤーで戦いあうモードなど実に個人攻撃などが好きなアメリカンなモードも搭載しています。これらにより何度でも遊べるようになっていると思いますので、ぜひ購入された方は楽しんでいただけると幸いです。

 現在、国内ではゲームストア・バネストさまが取り扱っているかと思います。ご興味ある方はぜひ。


執筆者:木皿儀

コード・オブ・プリンセス カードゲーム雑記

今回はスタジオ最前線さまから発売される
『コード・オブ・プリンセス カードゲーム』(以降、『COPCG』)
のゲームデザインを担当させていただきました。
この記事では、このゲームの特徴などを
デザイナーズノートとして記したいと思います。
※ルール等についてはすでに公式HPにて公開されております。
 下記の事前にルールをご覧いただけると理解しやすいかと。

http://one-draw.jp/cop/top.html#rule

■格闘ゲームを思いだそう
 このゲームの大きな特徴として、プレイ開始時に自分が操作するキャラクターを選んで遊ぶということがあります。私はこれをビデオゲームの格闘ゲーム(以降、格ゲー)においてのキャラ選択のように考えました。
 格ゲーは選択したキャラクターの特徴的な必殺技を駆使し、リーチやスピードなどの差(挙動をフレーム数単位で記憶)を考えつつ競い合います。ニンテンドー3DS『コード・オブ・プリンセス』はアクションRPGではありますが、キャラクターの性能差は存在しているので、まさに格ゲーのような感覚で楽しむことができます。これを踏まえて私は、各キャラクターに特殊な効果を振り分けました。この差異は遊ぶたびに異なる戦略が楽しめるというメリットを生み出し、リプレイ率向上に繋がると考えています。
 各キャラクターは特徴的な効果を持っていますが、全員が全員同等の性能ではありません(むしろ微妙な偏りとして調整しています)。大きく分ければ、堅実的な効果と博打的な効果のふた通りに分かれます。遊んでいただければ分かると思いますが、パッと見の特徴差だけではなく、プレイ感覚を大きく変化させることでしょう。ぜひプレイするときには、そのあたりのことを頭の隅に置いといてもらえれば幸いです。

chara_03_ゾゾs-
ゾゾ子は土属性のカードを使うと強化されます。
なので、技カードを集めるときは土属性狙いで!

chara_02_アリーs-
ヴァヴァはかなり条件が厳し目の効果。
うまくかいくぐれば、大量VPをGET!

※余談ですが、テストプレイ当初のキャラクターには初期値(すでにステータスが少し振られてる)がありました。ただ、プレイに支障をきたすレベルの情報量の多さを感じ、楽しさと難易度の関係性を見比べて結果的には無くすことを決めました。

■全体のゲーム構造について
 このゲームでは、各ラウンドにおいて、秘密裏にステータスをプロッティングし、それに応じた順番で場のカードを獲得していき、それらを用いて自身を強化しAttack値を比べあいます。それに伴い、勝利点(以降、VP)を得ることができ、計5ラウンド行なった結果で勝敗を決定します。各パートは個別に選択を強いるわけですが、それぞれが有機的に結び合うことで相乗効果を生みます。先々の展開を見据えたプロッティングが大事になるわけです。
 と、説明すると、拙作の『グリモワール』に似た印象を受けたかたもいらっしゃるでしょうね。あれもラウンドの最初に秘密裏にプロテッィングを行ない、それに即した形でゲームが展開します。見た目の構造は似ていますが、実は、実際のプレイ感覚はだいぶ異なっています。
 『グリモワール』はラウンド最初のページ選択が全てともいえるゲームです。それに引きづられるように行動順が確定し、特殊な効果が発揮されていきます。今回の『COPCG』も最初のステ振りは、ラウンドの行動順を確定する大きな要素ですが、それ以降の過程において大きなプレイ選択の機会を設けています。結論からいうと、バトル部分が第2の選択部分です。早く動けるプレイヤーは「大きく張るか、低支出で乗り切るか」、後から動くプレイヤーは「無理して上回るか、抑えるか」など、それぞれが状況に応じた選択を強いられることになります。
 ご説明の通り、このゲームには「ラウンド全体のプロッティング」と「バトルにおいての駆け引き」という2つの思考選択の機会を用意しました。思考する部分では、難しくなっているようにも思えますが、それだけ考える楽しみも増えていると考えてください(実際には他で難易度の調整を入れています)。

■ごちゃごちゃなバトルシステム
 当初考えていたのは全く異なる性質のものでした。カードのドラフトとプレイ(効果発揮)をアクションポイントシステムで自由に行ない、カードの組み合わせ(コンボ)を駆使して数値差を比べあう“新感覚バトルゲーム”というコンセプトだったのです。カードの効果も一般的なTCGレベルで複雑化し、より効率の良い組み合わせをドラフトで手に入れ、タイミングを見計らって使用する(ハンドマネージメント要素もある)というゲームでしたが、結局は複雑化したルールに面白さがついていかなかったので没にしました。残念(涙)
※このルール自体、いつかは形に仕上げたいとは思っています!
 要素を簡略化し、行動順を決める仕組みをちょい足しすることで新しいゲームの方向性が見えました。それでも悩んだのはバトル部分です。
 ただの“強さ”比べというだけでは物足りない……“素早い”という要素に何かしらのスパイスが必要でした。いろいろと模索した結果、現在の形になったのですが、そこに至るまでには少し長めのトンネルをくぐることになります。くぐっている間は本当に出口が見えない状態で、右に行ったり左に行ったり、ときには立ち止まったりしました。問題点として、バトルの順番が早いことにメリットがないことだと認識できても、それを改善する方法論がなかなか見当たりません。「強くなる」「カードが使いやすくなる(遅いと使いにくくなる)」「むしろ差を無くす」などいろいろと試し……現状の形に落ち着きます。
 これによって、AttackとSpeedの要素が行動の指針となり、行動を行なうたびに強さを比べあうというメカニクスは、早く動くか後から動くか、どこで力をためて勝負を仕掛けるのか、独特の関係性が有機的に絡まるようになったのです。この方向性はきっとあなたがたに新しいプレイ感覚を提供することでしょう。

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■さいごに
 『COPCG』は、アガツマ・エンタテインメントさまより発売されているニンテンドー3DS『コード・オブ・プリンセス』を題材にしたカードゲームです。これまでにご説明したとおり、原作のテイストを活かしたキャラクター性とバトル部分を再現したゲームに仕上がっています。
 原作を知らないかたでも十分に楽しめるようにゲームデザインをさせていただきました(もちろん原作を知っているかたであればニヤリとする部分もあります)。これまでのワンドローのゲームを遊んでいただいた方々、ボードゲームフリークの方々、そして『コード・オブ・プリンセス』のファンの方々、たくさんの方にぜひ遊んでいただきたいです。

 このデザイナーズノートがそのきっかけになれば、と思い記事を綴らせていただきました。長文でしたが、ありがとうございます。


執筆者:木皿儀

『7つの島』拡張《夢溢れる海賊航路》&《禁断の魔海域》

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 ゲームマーケット2011春で発表した『7つの島』ですが、限定販売ということもあり、無事完売いたしました。そして、たくさんご迷惑をおかけしました。その後、萬印堂さまから萬印堂版として120個が再販されまして、こちらも好評をいただき無事完売。そして、このゲームマーケット2011秋でも数は未定ですが再々販されているはずです。少しずつですが、より多くのかたにプレイしていただけると思うとうれしいです。
 で、再々販に際して、ゲームを拡張することを考えました。本来ならば、「新しいアクションカード」や「新しい島ボード」を複数用意した『7つの島:拡張セット』のようなものを発表したかったのですが……ちょっと忙しくて叶いませんでした。スイマセン。
 そこで、基本セットの島ボードに新しいシート〈航路ボード〉を組み合わせることで、まったく異なるプレイ展開を楽しめる拡張要素を思いつきました。そもそも、新しい島ボードを用意するとなると『7つの島』というタイトルに「偽りあり」じゃないですか(笑)
 航路ボードは表裏で2面あり、簡単な《夢溢れる海賊航路》と、難しい《禁断の魔海域》があります。最初は簡単なほうで遊んでみてください。組み合わせる島に関しては、初プレイでないのでしたら《始まりの冒険島》《無邪気な怪獣島》以外のお気に入りの島で遊んでみてください(前者は初めて遊ぶとき以外はあまり面白く無いので、後者はルール上選べません)。
 航路ボードでは、すごろく形式でコマが進み、止まったマスによって恩恵や損失が発生します。最初は進むコマに差異はあまり無いのですが、後半になるにつれ進むコマに差が生まれ、ままならなくなります。海賊たちが立ち向かう航海の厳しさをこの拡張で体験してください。


執筆者:木皿儀

「よくばりキングダム拡張セット:トレジャー」

 「よくばりキングダム」の拡張セット。ということで、新たな効果を持ったサポートカードの追加をするセットを用意しました。基本セットのサポートカードは、「手番開始時」か「自国に置いた時」に、資材を発生させる効果しかありませんでしたが、今回は様々なタイミングで様々な効果が発生します。慣れた人が遊ぶと今までとは違った読み合いになるでしょう。
 サポートカードが増えたことによるメリットは他にもあります。基本セットだけで遊んだ場合、順調に取り合っていくとサポート山札が無くなることがありました、だがしかし、サポートカードを増量したことでそんな自体は滅多に無くなりました。つまり、サポートカードの種類が多いため、何度遊んでも違う展開になりやすい、という現象が起こっています。みなさん、何度も遊んでください。

 もう一つ、遊ぶ上で確認していただきたい事があります。このゲームはサポートカードをすべて入れなければいけない、ということはありません。遊ぶ方同士で好きなように入れ替え、自分たちだけのサポートデッキを作り、遊ぶことも可能となっています。自分達の遊びやすいバランスを見つける、なんていう遊びもできちゃう!是非是非お試しください。


執筆者:木皿儀

「よくばりキングダム」デザイナーズノート

 ワンドローのオリジナルカードゲーム2作目。今回は2人対戦での心理戦をテーマにしたゲームです。攻防のタイミングを分かりやすく用意していますので、悩みに悩んでもらえれば幸いです。
 何度か遊んでいただければ分かると思いますが、相手のクセや思考を読むゲームです。同じ相手だからこその裏のかきあいが面白いですよ。そこに生まれるドラマティックな展開を楽しんでください。

 キャラクターのイラストは新人のミナツさん。思っていた以上に(って、失礼ですね)クオリティの高いイラストをあげていただき、とても感謝しています。また、デザイン関係、デバッグ関係、翻訳関係、その他手伝っていただいた方々にも感謝しています。次の作品があればよろしくお願いします。

 今後、拡張セットを発売できれば……と密かに目論んでいます。難しいかも知れませんが、期待せずお待ちください。それでは。


執筆者:木皿儀
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